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  • 津曲茂久(獣医学博士)

遺伝の豆知識

最終更新: 2月14日

 遺伝病の遺伝子変異は親から子孫に伝達されますが、親が最初から遺伝病の変異を持っている場合と、受精時に突然変異を起こして伝達される場合とがあります。生まれた人の先天異常の原因は遺伝子を調べても分からない複数の要因からなる多因子遺伝子病が50%、染色体の一部が2本より過剰または少ない染色体不均衡が25%、原因遺伝子が1つであることが解明されている単一遺伝子病が20%、環境要因によるものが5%とされています。


 人の流産胎児の染色体検査では57%に染色体不均衡(過不足)が見られ、その内常染色体トリソミー(染色体が2本ではなく3本ある)と性染色体異常(XYでなく、XXYやX0など)とが合わせて8割を占めるという報告があります。人流産の多くは受精時における異常に起因すると思われ、ある意味妊娠を継続して胎児が成長を継続できないほど大きな障害があるために生まれてきません。人の妊娠率は高齢に伴い低下しますが、老化した卵子や精子での受精では染色体異常が多くなる傾向があります。事実、21番染色体トリソミーで起こるダウン症候群は高齢に伴い発生率が増加します(20歳で1527人に1人、35歳で356人に1人、40歳で97人に1人)。


 家畜の繁殖は生産効率の観点から高齢妊娠は少ないですので、人より受精時における染色体不均衡は少ないと思われます。但し、家畜においても交配適期を過ぎたり、暑熱ストレスにより卵子や精子が劣化したり、老化することは十分に考えられます。


 一般的な遺伝病には1つの変異で発症する単一遺伝子病と2つ以上の変異と環境要因で発症する多因子遺伝子病などがあり、遺伝病の大部分は多因子遺伝子病とされております。特に生活習慣病とされる糖尿病、心疾患、高血圧などは遺伝的素因と環境要因とが合わさって発症します。単一遺伝子病の場合、メンデルの遺伝の法則に則り遺伝しますので、メンデル型と呼ばれます。遺伝する形質には雌の卵子由来の遺伝子と雄の精子由来の遺伝子とが1本ずつ伝達されますので常染色体は相同染色体と呼ばれます。

 

 生体には2万数千種の遺伝子が存在しますが、各染色体には遺伝子座が決められており、染色体の遺伝子座には1種類の遺伝子のみ配置されます。同じ遺伝子には複数の形質(アリルとか対立遺伝子と呼ばれる)のあることが多いですが、相同染色体に同じ形質(ホモ)と、異なる形質(ヘテロ)の組み合わせができます。相同染色体に2つの形質がホモで揃うと劣性でもその形質は発現しますが、優性の場合はヘテロでもホモでも発現します。

 

 人ではヘテロでも発現する優性遺伝病が圧倒的に多いのに対し、動物では劣性遺伝病が多いとされています。その理由は明らかではありませんが、家畜では遺伝病が認識されていなくても優性遺伝病のような病気に罹り易い系統は自然淘汰されやすいですが、必ずしも発症しない劣性遺伝病はキャリアとして子孫に伝達され、広がり易い可能性があります。遺伝病の中には遺伝子変異の原因が解明された遺伝病については、DNA検査によりノーマル、キャリア(ヘテロの変異)、アフェクテッド(ホモの変異)を診断でき、発症する前や交配する前に検査することが可能です。劣性遺伝病でもキャリアは勿論のこと、発症前のアフェクテッドを知ることはペットや家畜の繁殖計画に大きな影響を与えます。


#DNA検査 #遺伝子 #遺伝病 

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