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  • 津曲茂久(獣医学博士)

動物の目は口ほどに物を言うか?

最終更新: 2月14日

5億年以上前のカンブリア紀500万年間に生物は爆発的に多様化したためにこの時期は「生物のカンブリア大爆発」と呼ばれています。その大きな要因は生物が視覚を獲得したためとされています。即ち、それまでの生物は聴覚、嗅覚、触覚、味覚だけを使って獲物を得ていたために比較的限られた範囲で、生存競争も比較的少なかったようです。


 ところが視覚を生物が持つようになると獲物の見える範囲は格段に広がり、獲物になる数が多くなった分、生き残り戦略とそれを上回る捕食能力の進化が起こり、多種多様化した無脊椎動物が繁栄しました。その後、脊椎動物の魚類が出現し、魚類が陸に上がり、両生類や爬虫類へと進化しました。2億5千万年以降になると爬虫類の恐竜が地球上を支配しました。その恐竜時代に哺乳類の先祖は恐竜の餌食にならないようにモグラのように地中に潜り、夜間に活動しました。


 6500万年前に地球に落ちた巨大隕石は大気圏上空に大量のチリを浮遊させ太陽光を遮ったために、地球は寒冷化し、繁栄を極めた恐竜は食べ物が足りずに絶滅したとされています。急激な寒冷化に対応できたのは水中や温泉にいた蛇、トカゲ、土中にいた哺乳類のモグラ類などでした。その後、地球上で最も繁栄、進化したのはご存知の通り哺乳類です。そもそも、両生類、爬虫類、鳥類は紫外線、青、緑、赤の4色を認識しますが、夜行生活の長かった多くの哺乳動物は青と緑の2色しか認識できず、視力も弱かったとされております。


 但し、哺乳類の中で霊長類のみは赤や黄色に色づいた果物や木の実を認識できる突然変異を起こしたために、青、緑、赤の3色を認識できるようになりました。


 時々、犬が近くにあるおやつに気づかなかったり、投げたボールを見失ったりすることがあります。どうも犬は遠くにある物や60cm以内にある物をぼんやりと見ているようです。しかしながら、オオカミという捕食動物の子孫である犬は勿論のこと、多くの非捕食動物も動くものに対する動体視力は極めて高いとされています。2つの眼球が顔の前面にあるライオンやチーターは獲物との距離をより正確に測ることができますし、犬も動きのあるフリスビーやボールを簡単に追尾できます。


 一方、非捕食動物である牛や馬は眼球が顔の横にあるために、相手との距離を測ることは不得意ですが、広い視野を持つことで捕食者をいち早く発見し、一目散に走って逃げることが出来ます。翻って、人間も眼球が前面にあることから獲物との距離を測ることはできますが、有史前から野生動物の狩猟頻度が少なくなった人間の視力や動体視力は大分低下しました。その代り比較的近いところにあるものを正確に識別して、他の人の目や顔の表情まで読み取るが出来るようになりました(特に女性)。


 まさに目は口ほどに物を言うという言葉がある通りです。動物はある範囲の距離では目の焦点が合っているようで、猿の目を見つめると威嚇されるのはサルとの信頼関係が出来ていない場合に起こります。


 愛犬との信頼関係が高い飼い主が犬にじっと見つめられると、飼い主の血中オキシトシン濃度が上がるという報告がありますが、目と目によるコミュニケーションは信頼関係があって初めて、目は口ほどに物を言うようです。

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