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  • 津曲茂久(獣医学博士)

猫の生態を考える

最終更新: 2月14日


 ライオンやトラはネコ科動物であり“ビッグキャット”と呼ばれます。ライオンは“プライド”と呼ばれる雄ライオンを中心として数頭から数十頭の雌ライオンと子供達からなる集団生活を行います。厳しい自然環境ではライオンであっても毎日獲物にありつける訳ではなく、空腹で本来の体力を失ったライオンが捕食動物を効率良く捕らえる方法として集団戦法は優れています。事実、肉食獣は数日間の空腹を味わうことはまれではなく、そのためにまとめ食いできる丈夫な消化器を持っています。狩や子育ては専ら雌ライオンの仕事であり、雄ライオンは常にプライドを乗っ取ろうと放浪している若い雄ライオンとの戦いに備えて力を温存しています。子供の雄ライオンが成長すると親元のプライドから追放される掟があり、自分の子孫を残すには他のプライドを乗っ取るしかありません。首尾よく他のプライドの雄ライオンに勝利すると、哺乳中の子供ライオンを全て殺してしまいます。


 大変不条理な行動のように思われますが、子供を持った授乳中の母親ライオンは絶対発情しませんが、子供を失うと直ちに発情を起こすことから、“子殺し”が自分の子孫をいち早く残す戦略となるのです。猫がプライドのような集団で飼われることは少ないですが、外国のある農家で数十頭以上放し飼いされていた猫集団において、ライオンと同様の子殺し行動が観察されています。


 一方、トラはアジアの熱帯雨林からサバンナ地域に生息しています。捕食動物が比較的多い環境に生息しているためなのか、単独で狩を行います。雌トラの縄張りは子育ての影響もあり比較的狭いですが、雄の縄張りは雌の数倍以上もあります。雄トラの行動範囲が広いのは子育てがないことと、複数の雌の縄張りと重複させるためと考えられます。トラの育児はすべて母親が専ら担っており、3,4頭の子供を約2年近く大事に育てます。雄トラも哺乳期の子供を見ると子殺しする可能性があるので、母親は子供を まさしく“虎の子”のように雄トラから守る必要があります。飼育下にある猫は単独行動することが多いのでトラ的といえますが、集団飼育されるとライオン的な行動も示すと言えます。


 野生動物は基本的に食事に1日の大部分を費やしており、基本的には草食獣も肉食獣も同様です。草食獣は肉食獣が消化できない、豊富に存在する草を食物にできる点で生物学的に優れています。草食獣は肉食獣に捕食される可能性が常にあるので、捕食される危険性を減らすために集団行動します。肉食獣が休んでいる昼間に食事をして、夜は肉食獣の襲撃をかわすために反芻しながら集団で攻撃に備えています。ネコ科動物の肉食獣は本来夜行性が多いですが(ライオン、豹など)、夜間視覚のやや弱い草食獣が休んでいる夜間に狩を行う方が効率的だからです。ライオンの昼間の狩は夜の狩に失敗した穴埋めに行っているか、ハイエナやチーターなどが捕獲した獲物を横取りするために行われます。


 ライオンの活動時間は1日5,6時間といわれており、それ以外の時間は昼夜を問わず寝て、体力を温存しています。猫が昼間に寝ているのも夜間活動に備えて寝ているのであり、怠けている訳ではありません。


#猫の生態

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